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<郡上八幡編−1>シルク印刷発祥の地をたずねて〜手刷りでつくるひらがな積み木

受け継がれる「音」と「色」—郡上八幡の伝統技術

岐阜県、清流長良川の上流に位置する郡上八幡。
水の清らかなこの城下町に、昭和の面影をそのままに残す古い木造の工場があります。
かつて高校の講堂だったというその建物に一歩足を踏み入れると、
木の香りと共に、心地よい機械の音と職人たちの熱気が伝わってきました。

今回私たちが訪ねたのは、この地で60年余り前から木製品づくりを始め、
現在も「ひらがな積み木」を始め、子どもの感情を育む木の玩具を作り続けている工房です。
工房の様子をご覧ください。

完璧すぎて気づかれない、職人の手仕事

ここの積み木を手に取ってまず感じるのは、どこか懐かしく、温かい手触り。
その秘密は、郡上八幡の伝統技法である「スクリーン印刷」にあります。

実は、この印刷こそが驚きの職人技。
浮世絵の版画と同じように、一色ずつ丁寧に「手摺り(てずり)」で仕上げているのです。

あまりにズレがなく精巧に刷り上がっているため、目にした人のほとんどが
「機械による印刷かな?」と通り過ぎてしまいます。

完璧すぎるがゆえに手作業だと気づかれない……。
それは、職人さんの技術が究極の域に達している何よりの証でもあります。

機械的なシール印刷や転写では決して出せない色の深みと重厚感は、
まさにこの道一筋の「手数」が生み出した結晶なのです。

また「子供たちが最初に触れる文字だから、優しく、分かりやすく」
そんな思いが込められたレトロなイラストは、昭和から令和の今に至るまで、
世代を超えて親子をつなぐ共通のアイコンとなっています。

指先が覚えている「安全」という品質

製造工程を見学してさらに驚いたのは、徹底した「角」へのこだわりです。
カットされたばかりのブロックには、まだ鋭い角があります。
これを職人が一つひとつ手に取り、機械に当てながら滑らかな曲線へと仕上げていきます。

「赤ちゃんが口に入れても、角が当たっても痛くないように」。
言葉にすれば簡単ですが、すべての積み木のすべての角を、指先の感覚だけで均一に丸めていく作業には、
気が遠くなるような時間と熟練の技が欠かせません。

また、使われている塗料は日本の厳しい基準(ST基準)をクリアしたものだけ。
鮮やかなグラデーションは、ただ美しいだけでなく、「安心」という土台の上に成り立っています。

「遊ぶ」ことで育まれる、心の通い合い

こちらの工房では、積み木を単なる知育玩具とは考えていません。
「これは何の色かな?」「『あ』のつく食べ物、知ってる?」
そんな会話が親子の間で生まれる「コミュニケーションの道具」であってほしい。
それは、木を知り尽くした創業者の代からずっと大切にされてきた想いです。

積み木同士がカチカチと触れ合う音は、どこか優しく、心地よく響きます。
天然木ならではの適度な重みと温もり。
それは、幼い日の記憶の片隅に「大切な思い出」として刻まれていくはずです。

酒井産業のひらがな積み木はこちらからご購入できます。

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