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<南木曽編>寿司桶・おひつ〜さわらの産地をたずねて〜

長野県・南木曽。
「木曽路はすべて山の中である」という言葉のとおり、
町を少し離れると、深い森と清らかな空気に包まれます。

木曽の山で大切に守られてきた銘木は、「木曽五木」と呼ばれています。
檜(ひのき)、椹(さわら)、高野槇(こうやまき)、翌檜(あすなろ)、ねずこ。

江戸時代、過度な伐採から森を守るため、厳しく保護された歴史を持つ木々です。
現在も計画的な植林と伐採が行われ、美しい森林が保たれています。

この地でつくられる桶やおひつに欠かせないのが、椹(さわら)。
木目が美しく、軽く、水に強い。そして何より、ごはんとの相性が抜群です。

今回訪ねたのは、そんな木曽の山あいにある創業80年余りの木製品メーカーさん。

動画では森の風景から工場での作業風景まで、その空気感をそのままお伝えしています。
さわらの香りや、木に触れる手の動きは、ぜひ映像とあわせて感じてみてください。

創業80年 製材から製品づくりまで一貫したものづくり

元々が製材所であったため、木曽の山から質のいい材を揃えることはもちろん
1本1本微妙に違う材の性質を見極め、適切に加工する高い技術があります。

工場に入ると、まず目に入るのは積み上げられた木材。
その多くが、地元・木曽の山で育ったものだと聞きました。

厳しい寒さと豊かな水に育まれ、ゆっくりと年輪を重ねた木は、木目が細かく、香りもやさしい。
ここでは、そうした木の個性を見極めながら、一本一本を無駄なく使うものづくりが続けられています。

桶づくりは、いくつもの工程を経て進められます。
まずは木取り。木のクセや年輪を見極めながら、最適な部材を切り出します。
次に荒削り、成形。
ここでは機械の力を借り、精度と均一性を確保します。
そして、組み立て、仕上げ削りへ。
最後の手ざわりや厚みの微調整は、長年桶づくりに携わってきた職人の手によって行われます。

すべてを手仕事にするわけでも、すべてを機械に任せるわけでもない。
均一な品質が求められる部分は機械で、感覚がものを言う部分は人の手で。
効率と品質、その両方を大切にする姿勢が、現場の随所に感じられました。

おひつや寿司桶といった、食卓で使われる道具の素材「さわら」。
さわらは、水に強く、軽く、ほのかな香りを持つ木。
とくにごはんとの相性がよいことで知られています。

炊きたてのごはんを移すと、余分な水分をほどよく逃がし、べたつかず、ふっくらとした状態を保ってくれる。香りが強すぎないため、米そのものの味を邪魔しないのも特長です。

また、さわらには自然の油分が多く含まれており、水を弾きやすく、乾きも早い。
そのため、毎日使う道具としても扱いやすく、清潔を保ちやすい素材です。
食べものを直接入れる道具だからこそ、素材選びや加工には細やかな配慮が欠かせません。
現場では、機械による精度の高い加工と、職人の手仕事を組み合わせながら、
安全性と品質の両立が図られていました。

印象的だったのは、「便利さ」だけを追い求めていないこと。
効率よく作るための工夫は重ねながらも、木の表情や手ざわりといった、
人の感覚に寄り添う部分は、最後まで人の手で確かめる。
その積み重ねが、毎日の食卓に自然となじむ道具を生み出しているのだと感じました。

日本の森で育った木を、日本の暮らしの中で使う。
それは、昔から続いてきた当たり前の循環でもあります。
ですが今、その循環を次の時代へどう手渡していくかが、あらためて問われています。
木を使うことは、森を守り、育てることにつながる。
だからこそ、長く使える道具を、きちんとした形で届けることが大切です。


日々の食卓に、森の時間がそっと寄り添ってくれる——そんな道具づくりの現場でした。

酒井産業のおひつ、寿司桶はこちらからご購入いただけます。

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